日々是好日

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亡き妻のフルート。

果たしてGさんのフルートはどんな音がするのだろう?
ふと、そう思う。


物静かでいて、口数は多くないが
時々温かい言葉をかけてくれるGさん。

私の生徒さんではないが、いつも私の演奏をいつか聴きたい。
と声をかけてくれる。


私が重たい楽譜を抱えて歩いてると、
優しく「手伝いましょう」とさりげなく手を貸してくれる。
よく人を観察していて、細かいことをよく見ている。

紳士だけれど、決して順風満帆で何事もなく年輪を重ねてきたというよりは
なにかを今も抱えているけれど、それが決して物悲しい雰囲気になるわけではない、
独特のオーラを持っている人だといつも感じていた。


ずっと私に話しかけたそうな感じだったが
なかなかゆっくり話す機会がなかった。


そんなある日、独りでいる私を見つけて声をかけてくれたGさん。
「フルートって本当にいい音を出すのが難しい楽器ですね。
まずは音が出なければ音楽は始まらないけど、その音がなかなか出ないです。」
とおっしゃった。


話を聞くと、Gさんも14金の楽器を使っているそうで、
正直、フルートを初めてわずか数年の人が使うには、
それは難しいだろうと私は思った。
楽器をコントロールするのが難しくて苦労してる様子だったので、厚かましくも
なにか私に出来るアドバイスをしようか迷ったが、何かがそれを阻んだ。


その時、ふとさりげなく、「これは妻の形見でね。」

その言葉を聞いた時、胸に熱いものが込み上げた。


Gさんの周りを覆い囲む、あの独特の空気はそれだったのか。
なにかが私の中で合致したように感じた。

Gさんは苦笑いしながら
「きっと本当はもっと初心者の僕に相応しい楽器があるんだろうけどね。
でも妻がこれでフルートを吹いていたもんだから。」


きっと今も一緒に音楽を奏でているんだろう。
決して過去を邂逅するでもなく、
一緒に生きている前向きな姿勢なんだろう。と思った。

経験を重ねた者であれば、その人を見ただけで、演奏を聴かなくても
その人がどんな音楽をするか、どんな音を奏でるか、大体わかる。


Gさんの音色が私にははっきり聴こえたような気がした。



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by erikok0826 | 2015-09-01 11:16 | 出来事/ひとりごと | Comments(0)
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日々の生活の雑記


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